好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―

「冷静に考えたらさ、これってチャンスじゃん?」

「は?」

「いやー、だって夏休み中はつぐみちゃんに会えないと思ってたし。
珍しく姉ちゃんに感謝だわ」


そう言って瀬戸はヘラヘラと笑う。

座って、と促されてあたしはフカフカのソファに腰掛ける。

瀬戸はあたしと少し離れたところに座った。

そして、じーっとあたしの顔を見つめる。


「な……何?」

「本当につぐみちゃんが家にいるなーと思って」

「はぁ?」

「だってさ、想像しないじゃん?
こんな状況。
好きな子が自分の家にいるって」


好きな子……。

サラッと照れた様子もなく告げる瀬戸。

ニコニコしたまま、まだじっとあたしを見ている。


「……そんなに見ないでよ」

「あれ、つぐみちゃん照れてる?」

「照れてない!」

「ははっ!冗談だって。
分かってるよ、つぐみちゃんが俺相手に照れるわけないもんな」


あ………。

その言葉に胸がズキッとする。

瀬戸の顔を見るも、変化はなく……。

ん?と首を傾げられる。

何でもない、と首を振るあたしを見て瀬戸は笑う。
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