好きじゃない、はず。―ラブレター・マジック―


やがて、何かを決めたように結衣が口を開く。


「そう……そうだよね。
つぐみにばっかり頼ってちゃダメだよね」


そう言いながら結衣は小さく笑う。

分かってもらえてよかったとホッとする。


「自分で言わなきゃ……。
最後なんだから」


そうまるで自分に言い聞かせるように言う結衣。


「ありがとう。つぐみ。
ごめんね、変なこと頼んじゃって」

「ううん、別に」


……瀬戸は。

結衣に頼まれたらOKするのかな。

いつもの感じなら断りそうなものだけど。

でもそれが最後で、瀬戸が自由になれるなら……。

……多分、OKする。


それで全部解決するなら、それがいいのに……。


……胸がチクリと痛む。


そっと自分の胸に手を置く。


……あたしのこの気持ちを伝えるのは、全部終わって落ち着いてからにしよう。


そう決意して目の前の結衣に笑いかけた。

< 170 / 253 >

この作品をシェア

pagetop