紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~
「ううん、行くよ」
「………そうか」
「ん、………じゃぁまた」
手を振ると恢も一瞬だけだけど、軽く手を上げてくれた。
そしてすぐに私に背を向け歩き始める。
行き先は勿論先程までいた、珈琲茶館 月輝であろう。
その背をジッと見てから私も良牙と一緒に歩き始めた。
「向こうにバイク止めてるから」
「うん」
良牙に促され、曲がり角を左に曲がる。
さっきまでは自分が狙われていると思った途端、不安にかられたけど、良牙のその温かい手の温もりが心地よくて気持ちも和らいできた。