大人のEach Love

ぐるぐる探求心




葉を黄色に色づかせているイチョウ並木の道。
街灯に照らされたそれは、昼間に見るよりも色味を増しているように見えた。

頬を撫でる秋風に肩をすくませ、無意識に片手で反対側の腕を擦る。


「俺の何がダメなんだ・・・。」


そう愚痴を零しながら、ひとつ溜息をついて彼女の言葉を思い返す。


『そんなにモテるのに、私なんですか?!佐田さんは、上手く言えないんですけど愛らしさが足りないというか・・・。あの・・・保留にしてもいいですか?』


それが、
就業後、彼女に告白をした俺への返答だった。

YESかNOかの返事だと思っていたからか、彼女が発した【保留】という言葉に戸惑ってしまい、俺は言葉を詰まらせた。

自慢じゃないが、自分が社内でモテているのは知っている。
告白してくる女子社員が多かったから分かった事なのだが、俺自身はそんな事はどうでも良かったんだ。

容姿が良いからと言って、自分の好きな女すら手に入れられないのなら意味がない。


彼女の言う【保留】の意味が分からなくて、思った事をそのまま言葉にしてみる。


『保留ってさ?もしかして、俺ってキープ君とかいう?』


その俺の問いかけに、彼女は首を傾げて
『キープ君って、何ですか?』
とか言いやがったんだ・・・。


どうやら、彼女は地味子に付け加えてド天然らしい。


< 61 / 266 >

この作品をシェア

pagetop