可愛いあの人は高校生
「どうした？大丈夫か？」
加藤くんが心配そうにあたしの顔を覗き込んだ。


その瞬間あたしはハッと我に返った。


そうか・・・あたしはずっと加藤くんのことが好きだったんだ・・・よかった。


自分の苦しい記憶よりも加藤くんを愛していられることの喜びの方が大きかった。


「あたし・・・全部思い出したよ。ここで加藤くんと出会ったんだよね・・・・。幸せだったんだね・・・でもね、あたし今の方がもっと幸せなんだ・・・・。」


胸の中に押し寄せる感情をどう言葉にしていいのか分からず、一生懸命探した言葉を涙と共に伝えた。

加藤くんは何度もうなずいてあたしを抱きしめてくれた。
そして加藤くんの目にもうっすら涙がにじんでいた。




しばらくそうしているとあたしはあることを思い出した。
「あーっ！！！」

思わず顔を上げると頭を加藤くんのあごにぶつけてしまった。


「いってえ・・・！！！」
そう言って２人で顔を見合わせて笑った。


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表紙・目次

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