続編 Heat haze〜陽炎〜
「…着信もメールも拒否してたから…。あの日の俺が原因なら…―謝りたくて。」


あの日


俺がりょうを抱き締めた日
あの日から
りょうとは連絡がつかなくなっていたから


まずは許してもら…


『違うの…
違うのぉ…―。』


受話器越しの声に涙が滲む


『モト兄と連絡しなくなったのは……

私が…本当の気持ちに気づいたから。
それでも、彼氏と…一緒にいることにしたから…。』


「そうか…。」

心が壊れそうだった

苦しくて吐き気がする

声が消えそうなくらい小さくなった


『でも、結局はダメだったんだよ…。そんな中途半端な事じゃ誰も幸せに出来なかった。
自分が一番可愛かったんだ。私は……卑怯者なの。』

声に涙が滲んでいた
卑怯者はそんなふうに自分を恥じて泣いたりしないよ
彼氏を傷つけた以上に
きっと
りょうも傷ついてるんだろ?


「そうなんだ…。





でも、ソレに気付けたならりょうは最低じゃない。

大丈夫。
他のヤツが離れて行っても俺がずっとお前の味方でいるから…。」



いつかも言った言葉


どんなにいじめられても
りょうは同じことを言うと笑顔になった

あの時よりも
俺はりょうを守れるよ

世界が敵に回っても
俺はお前の傍にいるよ

『モト兄…―

モト兄ぃ……―。』

泣きながら俺を呼ぶ
居ても立ってもいられなくて

電話だってことがもどかしくて


「りょう、今どこ?」


『あ、アパート。』



「待ってろ
今行くから。」



そう言って電話を切った


すぐに艶子さんに電話をしてりょうのアパートを聞く


待ってろ



今行くから
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