僕のonly princess

こんなにはっきり言うべきじゃなかったのかもしれない。
でもちゃんと気持ちを誠実に伝えてくれた勇也には、私も隠さずに自分の心を見せなきゃいけないと思ったの。


勇也は今までいつもそばにいて助けてくれた大切な存在だから。
それは今までも、これからも変わらない。
だからこそ、勇也の気持ちに私も真っ直ぐに向き合って本音をぶつけなきゃいけないと思った。


勇也は一瞬見せた悲しい顔を振り払うように大きく頭を振って、次の瞬間にはいつものぶっきらぼうな顔に戻っていた。
一見、冷たいように思われる勇也のその顔も、本当は不器用な優しさで溢れているんだって知ってるから、私はいつも通りに戻ろうとしてくれた勇也ににっこりと笑いかけた。


「ホント、お前は頑固だよな。いつもはふわふわしてるくせに、決定的なところでは芯を曲げねぇ」


呆れたような顔をして溜息を吐く勇也に、私はへへへっと笑う。
勇也の精いっぱいの気遣いを感じさせるいつも通りの言い方に、ちょっぴり切なくなるけど、それは口にしてはいけないこと。


その代わりに私はもう一度、笑顔を勇也に向けて勇也の手からお玉を奪い返した。


「勇也のおかげで元気になれたから、ちゃんと美味しいご飯作るね！」


「は？……不味かったら明日のごみ当番、代われよ」


「えぇ！？それは勇也の当番でしょ？」


私達はそれ以上お互いの本音は口に出さずに、いつもの私達に戻って笑い合った。





＊結花side end＊