僕のonly princess

決意 side薫



*薫side*


結花が時々、悲しそうにつらそうに語る彼女の過去と現在の話を聞きながら胸が痛くなった。


父親と呼べる存在も、祖父母と呼べる存在もいなかった結花の唯一の家族だったお母さんが亡くなって、一人きりになった彼女はどれだけ寂しい想いをしてきたんだろう。


ふたば園で生活するようになって、楽しかったと表情を和らげた結花に俺の胸の痛みは更に増した。


結花は今までずっと、頑張ってきたんだ。
こんな華奢な身体で悲しみも苦しみもたくさん抱えて。


そんな結花を俺は愛しくて堪らないと思った。
ギュッと抱き締めて、その気持ちを伝えたくて言葉を紡いだ。


抱えているものも全部それごと結花を俺が守っていくから。


俺を闇に光を当ててくれた結花の光に俺もなりたいと結花を抱き締めながら、強く思った。



結花の話を聞いた後、結花からエミリちゃんと仲直りをしたと聞いた。
俺に嬉しそうに報告してくれる結花の笑顔を見て、俺もすごく嬉しくなった。


学校に友達らしい友達がいなかった結花にとって、やっとできた友達だから俺のせいでその関係が壊れてしまって悲しかった。
だからエミリちゃんが思い直してくれて、また結花と友達になりたいと言ったと聞いてホッとした。
嬉しそうな結花の顔を見れば、これからはきっとエミリちゃんといい友達関係が築いていけるだろう。
一人で頑張ることに慣れている結花に心を許せる人が増えることが俺にはとても嬉しい。


俺もいる。
ちょっと悔しいけど、倉石くんもいる。
そして、エミリちゃんもいる。


結花にとってそういう心を許していける存在が増えることは、きっと大きなプラスになるはずだ。


< 221 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop