僕のonly princess


こんなことを繰り返すなら、誰とも付き合わなければいいと思う。
だけど、断ることで色んな神経を擦り減らしたくなかった。
断ると泣いて縋る子もいれば、余計に誘惑しようと躍起になる子もいる。
そういうのを相手にするのはかなり神経を擦り減らす。


だから来るものは拒まない。


そして俺の心を揺らすことのない相手との別れも俺に痛みを与えたりしないから。


去る者も追わない。


それが俺なんだ。
本当にどうしようもない愚かで最低な男だと思う。
自分で自分が大嫌いなほど、俺は男として、人として失格だ。


何よりも、誰よりも欲していたただ一人の人にどんなことをしても手が届かないのなら、俺はそんな失格な人間で構わないと思っていた。




なのに…――――――



どうして君といると冷え切った心に温もりを感じたのだろう。
闇で覆われていたはずの心に、一筋の光を感じたのはなぜだろう。


君といると佐知以外に望まなかったものを欲してしまう。


君に会いたい。
君の笑顔が見たい。
君に触れたい。


そして、佐知にさえ望まなかったことを俺は君に望む。


君に幸せになって欲しい。


人として失格者の俺は君を幸せにはできない。
あの可愛い笑顔を歪ませてほしくないから。
俺のせいで君が誰かに傷つけられるなんて、俺は自分を許せないから。


君の笑顔を奪わない誰かと幸せになって。


俺じゃない誰かなんて、本当は考えただけで切り裂かれるほど心が痛む。
でも君があの可愛い笑顔で笑っていられるなら、俺は君と俺以外の男の幸せを心から願うよ。




だからね………結花ちゃん。




俺の闇に光を当てて、温めてくれたあの笑顔で、幸せになって。


< 91 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop