僕は君の名前を呼ぶ


星を見る気にもなれず、静かにベランダに出ると渡り廊下のあたりにうちのクラスの衣装を着た女子と他校の制服の男子が見えた。


目を凝らすと…


「……え。」


白い歯をバカみたいに出して豪快に笑う夏樹と、いつか俺に見せてくれた表情の笑顔でいる橘がいた。


そっか…。


夏樹はちゃんと橘に気持ち伝えたんだな。


素直には喜べないけど、おめでとう。


ふたりを見ていられなくなり教室に戻り、天井を見上げると、北斗七星の隣にはやっぱり俺しか知らない星が輝いてた。


角度のせいか、北斗七星は輝きを失っているように見えた。




俺には君がいないと、輝けないんだ────。




完全に居場所を失った俺は教室を出た。


「あっ、海斗!ここにいたんだ。探してたんだよ」


「カナ…」


名前を呼ばれ、振り返るとカナがいた。


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