僕は君の名前を呼ぶ


「海斗って普段はあんまり顔に気持ちが出ないから、そうやってにやけるのって珍しいよな」


そんなの、自覚したことなかったなあ。


でも、長い付き合いの隆太が言うんだから、きっとそうなんだろう。


「なあ隆太。大学1年のときに海斗がニヤニヤしまくっててヤバかったことあったよな。覚えてる?」


「夏休み明けのやつだろ? まじあれは、幸せそうだったよな、キモいくらいに」

盛り上がるふたりに『おい、一言余計だぞ』、とは言えなかった。


あのときは、さすがに俺もニヤニヤしてたのはわかってた。


そのくらい、受かれてたんだよなあ。




大学1年の夏休み。


彩花が俺の家に泊まりに来たんだ。


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