僕は君の名前を呼ぶ


──
─────


「海斗、酔ってんの?」


俺の目の前で首をかしげるのは、彩花──じゃなくて、夏樹。


酔ってないし。そこまでまだ飲んでないし。


どうやら俺は3年前の夏に、思いを馳せていたようだ。


もう、目の前に彩花はいない。




「海斗が幸せそうだと何か安心するよな」


「それは隆太が一人身だからじゃね?」


「チッ。ウルセーぞ、夏樹」


はぁ、勝手にやっててくれ…。


「海斗ってば、すーぐ表情に出るからな。良いことも悪いことも」


「ま、来年の今頃は幸せいっぱいで毎日ニコニコだな、海斗くん」


「ああ。」


あのときに誓った“輝く未来”はもうすぐそこまで来ている。


今を乗り越えれば、きっと、もっと、幸せになれる。


そんな気がするんだ。


< 330 / 419 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop