僕は君の名前を呼ぶ


ここから橘の家まで30分。
いや、雨が降っているからもっとかかる。


必ず行くから、どうか無事でいてくれ…。






「橘!?」


公園に入ると泥がピシャピシャとスウェットに跳ねたがそんなのどうでもいい。


周りを見渡すと公園の角のベンチで傘をささずに小さくうずくまる橘がいた。


「橘っ!」


「帰りたく、ない。帰れない」


小さな声で橘は言った。


「俺ん家行くけどいいか?」


俺がそう言うと、橘は一度だけうなずいた。


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