僕は君の名前を呼ぶ
【彩花 SIDE】
青木と別れたあと家に入ると、珍しく父親がソファーでくつろいでいた。
役職は知らないけど、父親は普通のサラリーマン。
定時で帰ってくることはまずないので、これにはびっくりした。
「…ただいま」
「おう、お帰り」
「お母さんは?」
「どうしても片付けたい仕事があるから、今日は泊まりだとよ」
お酒が入っているのか、普段より饒舌なくせにろれつが回っていない。
こういうときは、なるべく関わらない方がいい。
お母さんもいないし、今日は部屋に閉じこもっていよう。