[完]Dear…~愛のうた~
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「あ、隆!!」

病室から出ると杏ちゃんが心配そうに駆け寄ってきた。

「……実彩、どうだった?」
「その前に杏ちゃんに聞きたいことがあるんだ」
「え?」
「……実彩って、よく頭痛起きて失神するの?」

すると杏ちゃんの顔から笑顔が消えた。

「それって……今失神した、ってこと?」
「あぁ、……ごめん」

杏ちゃんは今にも泣きそうな顔で俺を下から見つめていた。

「実彩、私以外の人の前で失神するの嫌なのに……」
「……え?」
「実彩から何か聞いた?」
「たしか、考え過ぎたり、昔のこと思い出すとよく頭痛が起きるって」
「そう……」

杏ちゃんはそのまま椅子に座り下を向いた。

「ごめんけど、私から言えることは何もない。
実彩が心を開いているのはわかるけど、
私の口から言えることじゃない」
「……そっか」
「けど、さっき実彩が言ってたことは本当よ。
だけど、実彩の口から言うことはしばらくない。
けれど、間違わないで?
決して実彩に問い詰めちゃダメよ?
もっと状態が悪くなるから」

そういうと杏ちゃんは
そのままどこかへ駆け出した。

「状態が悪くなるって……」

あれ以上に状態が悪くなるとどうなるんだ?

頭の中を回転させていても何もわからず、
俺はそのまま椅子に座って寝てしまった。

__________

「…か……た……か……隆!!」
「……ん?」

目を開くとそこには真司が俺の顔をジーッと見つめていた。

「んわ!?って真司かよ……」
「なんやねん、その言い方。
せっかく起こしてやったのに」
「はは、ごめんごめん。
ちょっと顔近くてびっくりしただけだって」
「見てるこっちも嫌やったわ。
死んどるようやったで?大丈夫やったか?」
「まぁな」

真司はそのまま俺の横に座った。

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