ねぇ、先生。

久しぶりに来たからなのかもしれない。

最近は特に先生と接する機会が増えたから、考えないようにしていたのに。

……ここに来ると嫌というほど思い知らされる。


あたしはここに来て先生を独占した気になっていただけ。

そんなはずないのに。

最近は特にそうだった。

″叶うはずない″自分でそう思っておきながら、心のどこかで、″もしかしたら″なんて考えてたんだ。

先生があたしを気にかけてくれるから。

こうしてここに呼んでくれるから。

もしかしたら、可能性は0じゃないんじゃないかって勘違いしてたの。


「先生…」

可能性は0だ。

「ん?」

優しく聞いてくれる先生の顔を見ることができなかった。

下を向いたまま、言ったんだ。


「…先生のことが、好きです…っ」


先生が一番困る言葉。

一番手っ取り早くこの気持ちに終止符を打つ言葉。

口に出してしまえば、意外とあっけなく先生の元に届いてしまった。
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