ねぇ、先生。

「…だから、教師がする顔じゃねえって」

そんな言葉が出て行った先生に届くはずもなくて、虚しくなる。

俺何しに来たんだよ。

結局先生の咲良への気持ちの大きさを実感しただけで、言いたいことも上手く言えなかった。

全く変わってない状況に悔しくなった。


だって、あの人教師だろ。

俺が言ってることが正しいんだよな?

あんなこと言って咲良が喜ぶわけないって分かってるけど、何もせずに見てることなんて出来なかった。

だけど、先生が咲良を思い出すときにする表情にどこか安心した。


この人、ほんとに咲良が大事なんだって。

だからこそ簡単にそんなこと出来ないし、触れるのだって怖くなる。

誰よりも傷つけたくない存在だからこそ、踏み出すのが怖くて仕方ない。

先生がそんな風に思ってることが分かって、余計に怖くなった。
< 212 / 451 >

この作品をシェア

pagetop