ねぇ、先生。
「いちいち気にしてたらキリがないって分かってるんだけど、俺にはそんな余裕ないんだよ」
確かにモテそうな子だった。
白くて透明感のある肌に、ピンクの頬と唇。大きな目は長くてクルンとしたまつ毛に縁取られていた。
華奢だったし、守ってあげたくなる女の子だった。でも話してみるとか弱いだけの女の子じゃないってことも分かった。
「今日もさ、茉央ちゃんのことずっと好きだった男子生徒に色々言われて……何か一気に余裕なくなった。」
「珍しいな、お前がそんなに乱されんの」
ま、あの子が相手じゃ余裕もなくなるわ。
「……何かほんとにダメなんだよ、俺。茉央ちゃんが可愛くて仕方ない。」
「そう思うことの何がいけないんだよ。付き合ってんならいいじゃん。」
いくらお前が教師でも、お互いに想い合ってそうなってるなら何の問題もない。
…いや、生徒と教師ってとこに問題はあるかもしれないけど、2人が望んでそうなってるなら反対することもないだろ。
「可愛くて、たまに抑えが効かなくなりそうになる。でも、可愛いからこそ触れんのが怖いんだ」