ねぇ、先生。

「今日からうちのクラスな。」

中村さんの雑な説明の後、みんなは教室に入ってきた男子生徒に注目する。

制服はうちの学校のもの。多分夏休み中に用意したんだと思う。


「加地、自己紹介。」

「加地」と呼ばれた男の子の第一印象は、無愛想、だった。

ただ顔は整ってるし、制服だって違和感がないくらい似合ってる。これはあれだ。モテるタイプ。

シロとは別のタイプでモテるやつだ。


「加地優真です。」

カジユウマ。

緊張した様子もなければ、これからの学校生活を楽しみにしてるようにも見えない。ただ、不機嫌そう。


「加地の席はあそこな。」

たった一言で自己紹介は終わった。中村さんもそれを気にしてる様子はない。

名前だけ言われたところであの人のことなんて何も分からなかったし、どう接していいのかも分からない。


「うわー、すげぇ無愛想。」

「ね、すごい不機嫌だね。シロ次の休憩時間話しかけに行ってきてよ。」

「バカ、こういうのには時間ってもんが必要なんだよ。今行っても仲良くなれる気がしねぇ。」
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