ねぇ、先生。

先生の雰囲気かな。初対面の人の心にもスルスルと入っていけるのはきっと、先生だからだと思う。

「名前、何だっけ?」

「俺?」

「うん、あんた。」

「篠原蓮。美術部の顧問です。」

男の人って不思議。いつのまにか仲良くなってたりするから。

先生は特に不思議だけど。


「蓮くん。」

「おお、友達みたいだなー。」

「あんたとは仲良くなれそうだわ。」

ほら、あんなに難しそうだった加地くんをたった十数分で崩してしまった。


それから先生と加地くんは教師と生徒だってことを忘れてしまいそうなくらい、楽しそうに話してた。

先生は誰とでも楽しそうに会話するけど、加地くんとは特に楽しそうに。

正反対だけど、だからこそ気が合ったのかもしれない。それか、たまたま話が盛り上がっただけなのかも。

あたしには分からないけど、とりあえず2人が喧嘩にならなくてよかった。

…ていうか、加地くんが先生にキレなくてよかった、なんて1人で胸を撫で下ろしてた。

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