ねぇ、先生。
「…俺、ちょっと中村さんに話しあるから。…1人で帰れる?」
中村さんじゃなくて、蓮くんに。
涙を目にいっぱい溜めた咲良を1人で帰らせるのは嫌だったけど、俺にはやらなくちゃならないことがある。
「…うん、大丈夫」
「そ、よかった。じゃあ、また明日な。気をつけて帰れよ」
やっぱり好きだ。
頭をポンと撫でると、咲良は俯いて涙を手の甲で拭った後「また明日」と言って教室を出て行った。
…なぁ蓮くん、頼むから咲良のこと泣かせないでよ。
俺が貰っちゃうよ?
…なんて、そんなこと出来ないけど。