【完】切ないよ、仇野君
「雅美ー、あんまり絡みよると仇野君困るばい、あっちで話そう」


「あっ!うん!泰河君、そんうちまた絡むね!」


このほんの数秒の間で仇野君を下の名前で呼んでしまえる雅美のその、底無しの明るささえ羨ましい。


もし私がそんな性格だったら、前向きにコンプレックスと向き合えるのだと思う。


事実、小さくて少しポッチャリしている雅美は、そのコンプレックスを『小さいから小回り聞くし、ポッチャリだと皆に可愛がってもらえる』と前向きに捉えている。


大きくて、ガリガリで、顔がキツイ私は、どうやってそれを前向き思考に変換すれば良いんだろう。


戻って来た雅美と共に、雅美の席の方へと足を運ぼうと一歩踏み出す。


けれどその前に、仇野君と小鳥遊の方を振り返り、教室に入った時から思っていたことを投げかけた。
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