【完】切ないよ、仇野君
まだ部員が来る前の体育館にケイ先輩と向かうと、そこには既にボールを磨く由貴先輩がいた。


「おはようちーちゃん!圭介も、珍しく早かやん」


「昨日夜中までNBAん試合観よったけん一徹じゃ!ははっ!」


徹夜してその元気があるなんて、ケイ先輩のフットワークの軽さは尊敬する。


大きな声で笑い飛ばして着替えに向かったケイ先輩を見送り、私は由貴先輩の元へ。


「私も手伝います」


「お、サンキュー」


いつも誰よりも早くに来てボールを磨いたり、備品の確認をする由貴先輩の情熱は凄い。


私も早く起きようと思うのだけれど、なかなか上手くいかないものだ。


「ちーちゃん、どう?少しは慣れた?」


「あ、ハイ。皆優しかし、バスケんルールは泰ちゃんが教えてくれるけん、少しずつ覚えて来ましたし」


今まで知らなかったことを一から知っていくのは……わりと、楽しい。
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