【完】切ないよ、仇野君
「おっはよぉぉ!……ってあれ?なんか教室が変な感じなんやけどー!?」


そして、タイミングを逃してやって来た雅美は、まださっきの出来事に混乱している教室に、首を横に傾ける。


「おー!お前来るん遅かし!さっき泰河がなぁ……」


「ひ、広めんでばい!」


そんな雅美にさっきの出来事を説明しに行く男子と、今更恥ずかしがって止めに入る泰ちゃん。


その光景を微笑ましく思いながら見ていると、椿が砂糖菓子みたいな甘い香りを漂わせ、私に近寄る。


そして、私にしか聞こえないように、こっそり耳打ちした。


「泰ちゃんのあれ……人差し指で顎を掻くやつ、照れてる時の癖だから」


ニカっと頬っぺたに笑窪を作った椿は、やっぱり他の男子よりも可愛い顔のイケメン君。


けれど、そんな顔より、あの泰ちゃんの意外すぎる大胆行動と、その後の顎を掻く姿を思い出し、胸の鼓動が高鳴った。
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