壊れるくらい抱きしめて
あなたの一番になりたい
自分でも可愛げがない女だと思う。石川恵那、25歳。短大を卒業して入ったこの会社ではすっかりお局のキャラになってしまった。


元々ズバッと言う性格でオブラートには包めない言い方をしてしまう。それにオシャレもあまりうまく出来なくて唯一伸ばしている髪の毛は仕事中、一つに束ねたまま。


自分に合ったメイクも分からなくて無難なベージュのアイメイク。


こんな私を誰が好んでくれるんだろう。


でも、そんな私にも密かに恋心を抱く人はいた。2つ年上だけど同期の林 真宏さん。


仕事はピカイチ。彼の営業トークで落とせないものはないと言われているやり手の営業マン。私は営業事務だからたまに彼のサポートに回されることもある。


そんなときは少しだけグロスを塗ってみたりするのだけれどそんな様子に気づいてくれるわけもない。


それでも私はただ彼の仕事をサポートできるだけで良かった。別に特別になりたかったわけじゃない。


そんなのはただの意地?プライド?



本当は理美の場所にいたかった。なんで誕生日に理美と林さんのキスシーンを見なくちゃいけないんだろう。
< 1 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop