ごめんね、ボクのカラダ
退院
オペ当日。裕樹の病状は悪化していた。当初デブリートマンオペ(植皮)の予定でいたのだが、ポケット状に抉れた創部にはデブリでは間にあわず、急遽皮弁を行う事とになった。異例の事で担当医も若干神経が尖った。オペ室は不穏な空気が流れた。

「全麻に切替え可能ですか?」

「いえ、局麻の手配しか頂いてないので無理です。」

執刀医の顔がさらに険しくなった

「麻酔を足しながらやろう。」

声の持ち主は形成外科部長だ。

うつ伏せになっている裕樹の前にその姿を現した。

「早乙女さん、ここの左大腿部から組織を取って移植しますね。」

自分の身体をモチーフに説明してくれた。

「はい。お任せします。」

裕樹は観念していた。任せるしかない。そう思ったら結構気が楽だった。
「では始めます。宜しくお願い致します。」

『すげ〜なんかテレビドラマみたいじゃん。』

暫くして焦げ臭い匂いが漂ってきた。

「ジジジッ ジジジッ」

左を見てみる。器具が仕舞われているラックのガラスの術中の創部が横からだが、映って見える。
『電気メスか』

「早乙女さん痛くないですか?大丈夫ですか?」
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