茉莉花の少女
 木々が赤く染まる頃、彼女の誕生日が訪れた。

 けれど、彼女に誕生日が何がほしいか聞きだせないままだった。

 優人さんに聞いたら、別になにもあげる必要はないとまで言われた。

 彼女へのプレゼントを買えないまま、誕生日を迎えることになった。

「ていうか、バカだよね」

 そう僕に言ってきたのは林だった。

 彼女は腰に手をあて、僕を見据える。

「バカと言われても」

 自覚はあったから、強く否定はできない。

「私なら指輪かな。でも、そこまではと思うなら、ケーキとか食べ物でもいいんじゃないの? 先輩なら何でも喜んでくれそうだけどね」

 確かに彼女はケーキが好きそうだった。
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