茉莉花の少女
第31章 願い
 それから四年の月日が流れた。あれ以来、茉莉に会うことはない。

 けれど、彼女から貰ったあの花は今でも季節になると花を実らせる。

 祖母は最初は勝手に変なものを植えてと文句を言っていたが、昔は祖母の言葉をとめることがなかった祖父や父にたしなめられ何も言わなくなった。

 父親も体調を少し戻し、まだ入退院を繰り返しながらも比較的元気に生活をしていた。

 母親は知らないが、元気にやっているらしいと父から聞いた。

 優人さんとはたまに会う。

 彼は会うたびに僕のことを心配しているようだった、

 僕が大学時代に恋人の類が一度もできなかったことを気にしているようだった。
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