茉莉花の少女
第7章 瞳
 他にも、彼女の目論見は外れていたようだった。

 父親と別れてから、母親は平気で男を連れ込むようになった。

 彼女は僕がいようといまいと、男に甘い言葉を囁き、身をゆだねていた。

 そんな姿を見ていて、母親の浅ましさに嫌悪した。

 もう少し成長して、彼らが何をしているのか理解したとき、吐き気がした。

 女が猫をかぶる生き物だと知ったのもその頃だった。

 母親は僕には金属音のような暴言を吐くくせに、

男の前ではどこから出しているのかと言いたくなるような、猫なで声をだす。

 今まで僕に言い寄ってきた女達と同じような甘えた声だった。
< 69 / 362 >

この作品をシェア

pagetop