ドラゴンの鍛冶屋
ドラゴン山。
ここは、みんなが住んでるところから、とおいとおい国。

みんな、車とか電車とかじゃなくて、歩いたり、馬とか馬車とかでおでかけしてた頃のおはなし。

高~い岩山の上の方に、岩を食べる岩ドラゴンたちが住んでいました。

おっきくて真っ黒なドラゴン王。

中くらいで真っ赤なドラゴン妃。

ちっちゃくてこれまた真っ赤なドラゴン姫。

王さまをまもる、ドラゴン兵たち。

みんなで、岩山の上の方に住んでいました。

ドラゴン王は、岩をほる。

ドラゴン妃は、それを料理する。

ドラゴン姫は、料理を並べる。

ドラゴン兵たちは、王を囲んで食事をする。

みんなが、そうして暮らすことが楽しく嬉しく思っていました。

ドラゴン王は、みんなの食べる岩をほる。

ドラゴン妃は、みんなが好きな味に料理する。

ドラゴン姫も、ときどきおてつだい。

ドラゴン兵たちは、そんな王さまたちをまもる。


それは、みんながみんなをささえているから、楽しく嬉しい気持ちだったのです。


しかし、ある時、困ったことがおきました。

「妃や、妃や。困ったことがおきた」

「王、王。どうなされました?」

「かんむりを、かんむりをこわしてしまった」
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