言葉にできない。

アパートの大家でもあるうめさんと、恒例になっている夕食を一緒に取っていた時のことだ。


「司ちゃんは結婚とかしないの?」

「結婚ですか?」

「そう、結婚。」


・・・考えたことなかったなぁ。


そう思っていたのが顔に出ていたらしく、うめさんは背中をバンバン叩きながら笑っていた。


「あんたもう30よ?」

「いやそうですけど・・・」

「ちーも同んなじなのよねぇ。」


…その名に心臓がハネる。

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