完璧姫と爽やかオレンジ
真由
すっかり暗くなった冬の夜空を見上げる。

いくつもの星が、私たちを包み込むようにして泳いでた。

「そう思うよね?真由?」

名前を呼ばれて、自分が星に見惚れていたことを思い出す。

「ごめん。聞いてなかった。もう一回いって?」

「もぉ~!真由ってば、ボーッとしすぎ!」

千尋は、そういうなり、タイプが優秀な人だとか、くだらない話をしてきた。

ばっかみたい。

確かに、私もこの世界は、優秀な人間だけをつくればいいと思う。

優秀な人間の卵子と精子で、優秀な人間をつくればいい。

この世界は、落ちこぼれが多すぎる。

私を、悲しみの底へと突き落とした落ちこぼれどもを、私は許さない。

落ちこぼれどものせいで、私は人間不信になったのだ。



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