完璧姫と爽やかオレンジ
あの日
その日、私は暖かくて優しい家族のいる家に帰るはずだった。

今日の夜ご飯は、なんだろう。お父さん、久々の仕事休みだから、ハンバーグかな?

そんなことを思いながら、家のドアをあけた。

「ただいま~!」

家の中は、おかしいくらい静だった。それに、電気もついていない。

嫌な予感がした。

「お母さ~ん!居るんでしょ?出てきてよ!!」

私は、大きな声で叫んだ。でも、誰も出てこなかった。

もう、泣きそうだった。

私は、家のなかを進む。

「おかあさーん!おとーさん!」

やっぱり、返事はない。

ふと、茶の間に黒い大きな物体が転がっているのが、見えた。

おそるおそる、近づいてみる。

嫌な予感が的中した。

「えっ...」

そこには、ナイフでズタズタにされ、見るも無惨なふたりの姿があった。

お母さんのお気に入りの白いレースがついたブラウス、

それは、もう白ではなく、赤黒く染まっていた。

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