ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
「わ…わざわざありがとう」
「別にいい。俺の家も近くだし」
「へ?そうなの?」
「うん。一駅隣」
「知らなかった…」
「…あと、」
「ん?」
「…ごめん。言いすぎた」
「……」
彼がぼそ、と呟いた一言。その言葉に驚くうちに、青井くんはじゃあとその場を歩き出してしまう。
『ごめん』、なんてそんな。
迂闊だったのは私で、最低と言われても仕方がない。寧ろ青井くんは助けてくれた。ここまで送ってくれたのに。
…やっぱり、優しい。
離れる手が、遠くなる背中が、こんなにも名残惜しい。静かな夜に、心が切なく音をたてるよ。
ドキドキ、ドキドキ、と。止まらない音を。