ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
「…髪、まだ濡れてる」
「あ…うん、まだ乾かしてる途中で」
「そのままじゃ風邪ひくよ」
そして不意に伸ばされた手は、毛先に滴る水滴を拭う。
また突然近付く距離。それに驚き思わず後ろに退く、けれど後ろにあった戸に気付かず頭をゴン!とぶつけた。
「いっ!っ〜…」
「…ぶっ」
勢いよくぶつかった痛みに声すら出せずにいると、小さく響いたのは彼の噴き出す声。
「な、なんで笑うの…」
「いや、ごめん…まさかぶつかるとは」
まるでコントのようにでも見えたのか、彼は珍しく肩を揺らして笑う。
「…私は本気で痛いのにひどい」
「うん、だろうね。ごめん」
小さく呟いて彼はまたこちらへ近付くと、私の頭の壁にぶつけたところをよしよしと撫でた。