ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
「美紅ー!どうだったー?」
「すごい綺麗だったねぇ。はしゃぎすぎちゃった」
そうだよ、忘れていた。元々嫌われていたこと。私なんて、ありえないってこと。その優しさが嬉しくて舞い上がって、恥ずかしい。
青井くんも空気に流されそうになっただけ。それでも、やっぱり無理だった。
…私、本当にバカ。
「…で、美紅。青井と何かあった?」
「…あはは、何もないよー」
男性陣に聞こえぬように小声で問いかけた雛ちゃんに、また笑顔を作って振舞った。
やっぱり雛ちゃんたちは気を遣って二人で乗せてくれたのだろう。だけど無いよ、何も。
そもそも私と彼の間に恋に繋がる可能性なんてなかったんだから。そんなことを今更気付いた。もう手遅れなのに。
いくら自制をしたって、いくら『嫌われてるから』って諦めようとしたって、全て今更。だって、好きになってる。こんなにも好きで、好きで、触れられないその唇に心が痛い。
苦しいよ、涙も出ないほどに。
先程まで心を埋めてくれていた、キラキラとした景色たち。けれど今は、その眩しさがただ目に痛い。