ツンデレな彼と甘キュン社内恋愛
「私ね、付き合うまで康之のこと苦手だったの」
「へ?」
突然、なに?
綾奈ちゃんが話しだしたのは、お兄ちゃんとの話。その話の意味を問うように見れば、綾奈ちゃんは彼方の柔らかな髪を撫でながらまた微笑む。
「康之ってほら、若い頃ちょっとヤンキーっぽかったじゃない?眉毛も細くて怖い顔して」
「うん。言葉遣いも悪いからよく周りからも言われてた」
「私と康之が知り合ったバイト先でもよくそう言われててね。そんな康之のことが私も怖くて、正直あんまり話したこともなくて」
思えばあまりしっかりと聞いたことのなかった、綾奈ちゃんとお兄ちゃんの話。高校生の頃バイト先で出会って…っていうのまでは知っていたけど、それ以上のことは知らなかった。
初めて聞くその話に、私は興味深々で耳を傾ける。