愛を知らないあなたに
琥珀様はあたしを食べないだろうと言った。



それでも、あたしは生贄だ。



生贄としてやってきた。





琥珀様にとって・・・それ以上でもそれ以下でもない。








それなのに―――




恋してる、なんて・・・・・・。









ありえない。

そう、思いもするのに。




心は、気付いた事実をすんなり受け入れた。


何の躊躇い(タメライ)もなく。









しゃがみこんだあたしの頭を、ぽんぽんと、二つの手が優しく撫でた。




そっと顔を上げれば、タマとりょっちゃんが、あたしを優しく見ていた。





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