愛を知らないあなたに
しみじみ思っていると、タマはおもむろに唇を動かした。






「―――幾度。

陽がのぼり、沈み、月が顔を出し、星が瞬いても。


わたくしは、あなたを想っております。

あなただけを。



あなたがわたくしを恨んでいても。

憎んでいても。

忘れてしまったとしても。


わたくしはあなたを想っております。



たとえ呪いがわたくしを蝕んでも。

わたくしがあなた以外の方に抱かれていようとも。


わたくしは、あなただけを想っております。





狂おしいほどに、わたくしは。


あなただけを、愛しております―――。」







どこか虚ろな瞳で。

どこまでも切なく、狂おしく。


タマは謳うように呟いた。




ハッと、息を呑むほどに、その顔は。


“女”の顔だった。




< 247 / 377 >

この作品をシェア

pagetop