愛を知らないあなたに
いや、まぁ、『一目惚れ』とか皇帝から言われもしたけど・・・

でもそれはからかってたんだと思うし!


第三者から、そんなこと言われると、心臓がうるさいっ・・・‼︎!




「ふっ・・・動揺してるのか?
可愛いな。」


「かっ、」


可愛い!?

ていうか、その微笑、色っぽくないですか?!
心臓に悪いんですけど‼︎!




「ぅああのっ・・・お店、いらっしゃるの、お、お待ち、しておりますっ・・・・・・。」


あたしのことから話題を変えるべきだと、どもりながら、なんとか言った。

皇帝は、穏やかに微笑んで、あたしの頭を優しく撫でた。



「あぁ・・・待っていてくれ。」










ーーその日から。


新之助様は本当に、ほとんど毎日、お店に来てくれた。

皇帝という身分を隠して。




『薺には、新之助という、俺そのものを見てほしい。』


真っ直ぐにあたしの目を見つめて言われ、心臓が大きく音を立てたのを覚えている。




新之助様の“いつもの”が、甘酒だったと知ったときは驚いた。




『・・・甘くて美味しいじゃないか。
別に、何が好きかなんて、人の自由だろ?』



拗ねたように、そっぽを向いて唇が尖らす新之助様。



皇帝なのに、男の人なのに。

あたしは彼を可愛いと思った。


ーー愛おしいと思った。





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