愛を知らないあなたに
『・・・・・・嫌では、ないです。』



なぜだろう。


昨夜の彼女の呟きが、蘇った。




『そ、その・・・・・・あの・・・は、恥ずかしいからで・・・・・・』


かぁっと頬を染めた姿も、蘇る。







――あの時。


かすかに・・・けれど確かに、何かが動いたような気がした。




俺の中の、動くはずのない何かが。


かすかに動いたように思う。





それともあれは錯覚か何かだったのか?






・・・・・・分からぬ。





「まぁ、大したことではないだろう。」



俺は奥に行き、呟いた。





ここもさっきの場と同様、何も無い、殺風景な広間だ。





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