愛を知らないあなたに
「では、いつになったらこの“困惑”という感情が消え。

生贄を食べれるようになるのだ?」




一体、どれくらいの時間が必要なのだろう。



検討もつかぬ。





「まぁ・・・いずれ分かるか。」



俺はそう高をくくり、床に横になった。



今日は随分と早くに起きてしまった。

しかも、特にすることもない。


だから、とりあえず寝るとしよう。







―――――眠る直前。


瞼の裏にはあの生贄の姿があった。




胸元ぐらいまでの黒髪を、後ろで1つに束ねている。


キメの細かい肌と、薄桃色の唇。

下向きだが長い睫。

真っ直ぐすぎる漆黒の瞳。



よく見ればあの生贄・・・まぁまぁ美しかったな。


そんなことをやはり他人事のように思いながら。



俺は眠りについた。




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