愛を知らないあなたに
なんで?


どうして?




浅葱さんは、あの村で生まれて、あの村で育てられたはずなのに。





この山には鬼が住んでいるから、近づいてはいけないと・・・



嫌って言うほど、聞かされたはずなのに。









「・・・どうした?生贄。」








なのになんで―――




この山に登ったの?








琥珀様の呼びかけが、ただの雑音に聞こえた。







あたしは、ぐるんぐるん回る頭の中で。



浅葱さんの笑顔ばかりを、思い浮かべていた。





< 83 / 377 >

この作品をシェア

pagetop