空色Loveカラー 〜心の内に秘めた恋〜
1年前の春。
中学3年生のあたし。
あたしは友達とはぐれてしまった。
泣きそうになっていると…、
「君、大丈夫ぅー?」
ノリのわからない男の子たち数人に囲まれてしまった。
「だ、大丈夫、です」
あたしは静かにそう答えたのに…。
「えぇー?俺等が居なきゃ駄目ぇ?」
「君、可愛いね。どう?俺等と遊ぶの」
最近やたらと絡まれるようになった。
あたしはそっぽ向いて、早くどっかに行ってくれることを願う。
…しかし、現実は上手く出来てない。
なかなか、よそに行ってくれない。
やたら…腰に触って来るし…。
涙がポロッと落ちた時…。
今でも忘れることの出来ない…
低い優しい声が響いた。
「…何やってるの?」
…美形。
これの言葉が似合う高校生の男の子が…声をかけた。
「女の子と遊んでるだけだって!お兄さん邪魔なの分からない?」
リーダー格の男の子は不気味に笑う。
あたしはその笑みにビクッと肩が上がった。
「君たちはそう思ってるんだね。…君は?…この子たちと遊んでいるの?」
あたしにゆっくり近づいて、綺麗に微笑む王子様 。 ←勝手に命名・笑
「…ち、違う。…はぐれたら…絡まれて」
あたしがそう言葉にした瞬間、
「…アンタ、勇気あんね」
隣からあたしの…胸元を掴み、壁に押し付けられる。
あたしは顔面蒼白。
初めてこんなの体験するなんて…。
こんな呑気な事を考えていた。
「…お前ら、ソイツ、ヤっていいよ」
え?
あたしが心の中で、呟い瞬間、男の子たちが高校生の男の子に殴りかかった。
王子様は気を取られていて…お腹の辺りを殴られてしまった。
「…あっ」
あたしは驚きで…、目に涙を溜める。
「アンタは俺とだよ?」
あたしが王子様の方を向いていると…、リーダー格の男の子があたしの顎を掴んで…、顔を近付けてくる。
「……ゃ」
あたしは、ぎゅっと目を瞑る。
「…辞めれば?やがってるよ?」
王子様は、リーダー格の男の子の肩に手を乗せる。
「…あ、あいつらはっ!……」
リーダー格の男の子は唖然。
だって、皆倒れているから…。
あたしも王子様をみて唖然。
一人でこの量をヤるなんて………。
「…離さないの?」
王子様はニヤッと笑って、手に力を入れる。
すると、相当痛かったのか、
「す、すみません!」
そう言って、王子様の手を払って行ってしまった。
「………」
あたしは、驚きと疲れで…へたり、と座り込む。
「……大丈夫?」
そう手を伸ばしてくれた王子様。
あたしは、彼の美形に更に驚く。
かっこ良くて、イケメンなんて……。
「…あっ」
そうだ!
この人怪我してる!
「あ、あたしのっ……せいでっ…怪我」
あたしの目から涙が零れ落ちた。
あたしのせいで王子様に怪我をさせてしまった。
あたしが顔を伏せると…、王子様の手があたしの頬に触れた。
あたしは驚きで顔を上げてしまう。
「…俺の為に泣かないで?」
あたしに優しく微笑む姿に…………、
あたしは恋に落ちた。
「名前は?…なんて言うの?」
そう照れた様に言われて…。
「山岡中の弓野 繰明(ゆみの くりあ)です…」
あたしの言葉に少し驚いて、刹那そうに笑った。
「古語川高校の宮水 悠貴(みやみ ゆうき)。これからは絡まれない様にね?」
優しく微笑んで、終いには…頭を撫でてくれた。
王子様・宮水 悠貴さんとはこの時から…想いを寄せていた。