好きな人のお母様に恋心がバレました
第1話:ギャップ萌えという言葉がありまして


「宮戸さん、このコピーお願いできる?」



優しい優しい声音、
爽やかな石鹸のようなオー・ド・パルファムの香り。



それだけで誰かわかる。



「朝霞先輩。……明日の会議で使う資料ですね。いつもどおり30部でいいですか?」



尋ねると私の先輩は、こくりと頷いてはにかんだ。



「いつもごめんね。よろしく頼みます」



「はい、頼まれました」



ぴし、と敬礼してみせると先輩はクスクスと笑う。
つられて私も向こうにいる部長たちにばれない程度に笑った。



そして私の横を彼が通り過ぎる瞬間、気付かれないように、深く、彼の香りを吸い込んだ。


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