私と君の音が重なったとき


ガヤガヤ




朝の忙しい通勤時間の大通り、人が沢山通っている中で一人立ち尽くしている少女がいた

少女の横を通った人は皆、少女の方を振り返る





青を基準としたセーラー服に、ピンクの大きめのリボンをみて人は「北高の…?」

と口々に言う





北高とは、普通の県立高校のことだ。でも、結構偏差値が高いのと制服が可愛いことで

有名





しかしここから北高まではとても遠い、隣の県だ

それで人は「何故こんなところに北高の生徒が?」と不審に思っている







なにより人の目を奪っているのは少女の容姿のせいでもある







大きな瞳に緩やかな弧を描く形の整った唇、

超絶美人とまではいかないかもしれないが、彼女は今にも消えてしまいそうな儚い雰囲気を醸し出していて人々の視線を無意識に集めてしまう





「…さようなら。」



晴れ晴れとした表情で少女が発した言葉は、周りの音に飲み込まれていった____。











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