ぽっちゃりちゃんとイケメンくん

「…そうか。ちょっと、わりぃ、俺、部屋行くわ」


そう言って片岡さんは部屋に一人で行った。

私は追いかけたかった。
でも、そんな資格、今の私にはない。


「クスッ。裕介、落ち込んじゃったね?私、慰めてくるわ。あなた、私のライバルでもなんでもないから、早く帰って。周り、うろちょろしないでいただけるかしら?」

鈴村さんはそう言って、片岡さんの部屋へ行った。


…どうしよう。
涙が出そうになる。
でも、きっと、片岡さんのほうが悲しくて涙を流したいのだ。
だから、泣いちゃいけない。

私は泣くのを我慢して、今日は帰った。

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