バニラ
「欲しい?」


オレの問いに、千尋は小さく頷いた。


「千尋…」


向かい合わせた姿勢を変え、オレは千尋の横に体を寄せる。


左耳に息を吹きかけ、胸いっぱいにバニラの香りを吸い込んだ。


髪に、耳に、頬にキスを落とすと、千尋はこわばった体の力を抜いていく。


「あたし、ずっと…。輝明兄ちゃんのことが…」


その言葉をキスで封じた。


「オレもだよ。いつからかオレん中は千尋でいっぱいだった」


───好きだよ


千尋が戸惑う激しいキスの合間に、何度も呼びかける。
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