闇一族
プロローグ
俺は疾風、一族を追われた者。

行き場を失って、あちこちさ迷い歩いたことは言うまでもない。

何を思ってか名を変え、俺のもとへやって来て言葉をかけてくれた女がいたが、口先だけの言葉など信じられるものか!

俺を「仇」とまで呼んだ女の言葉など…。

何も信じられない。信じられるのは自分だけだ!

そんな思いで時を過ごしてきたが、最近になって、もう一度ヒトを信じてみようかと思い始めてきた。

まぁ、逃げ通せるとは思っていなかったのだが、居場所をかぎつけた奴がいたらしく、一族の筆頭が俺のもとへやって来た。

知らぬふりを決め込んでいた筆頭が何故やって来たのか?真意はわからないが、俺の存在だけは認めてくれたようだ。

たったひとり、まだ一族の形もなく筆頭だけだった頃のことを思い出す。

初めて筆頭出会ったあの日、今まで感じたことのない何かを感じた。

自分の居場所を見つけたように思った。

一族は居心地の良い場所だったことだけは確かだ。
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