不条理な恋でも…【完】
私はしばらくそうやって大希さんの家で、

ただぼーっとする日々を過ごしながら、通院を続けた。


そうやって時間を過ごしていくと、少しずつ食べたいという感情が生まれ、

食べるものが美味しいと感じられるようになった。

そして、ただぼーっとすることがもったいないと思い、雑誌を買ってきてもらって

読もうとしたけど、少しめくると目が痛くなり、

TVも見て見たが、頭の中に何も入ってこなかった。

そんな自分が不甲斐なくて涙が出た…

こんなお荷物。

どうしてこんな思いをしてまで私は生き永らえているんだろうか…


それなのに大希さんは終始優しく微笑んで私の事を受け入れてくれた。

それがたとえ突然眠っているときに錯乱して、彼を拒絶した後であっても…


そんな時間ももうしばらく過ごすと、

少しずつでも大希さんの家で家事をできるようになった。

最初は本当にお茶を入れるだけ…

でも彼は褒めてくれて喜んでくれた。

それと同時に何度も「大丈夫か?」と尋ねてくれた。

そんな薄皮をはぐような努力と、服薬の効果と、

時間の薬が上手く働いた私は、彼の家を出ることを決意する。

意識がはっきりしてくるにしたがって私はその想いの深さに愕然とした。

大希さんが私を愛していることは明らかだった。
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